活々【いきいき】

現在の日本住宅産業の深刻な問題 職人不足

ito-pro伊藤でございます。

先日、とある一般社団法人からアンケートが届きました。

アンケートに対し回答をさせて頂きましたが、やはり職人不足に対して非常に深刻な問題になっている様です。 確かに、今のままでは職人になりたい人材が減っていきます。

今回アンケート用紙の封筒に私なりにまとめた手紙を添えさせて頂きました。

以下、私が送った手紙の内容です。

 

 


 

この度、アンケートという形を私共、工務店に送って頂きましてありがとうございます。

私共の小さな会社の声が行政に届くことを期待しております。

職人不足について

私も18歳で大工の小僧で24歳で独立後から29歳まで工務店の下請け大工をやっておりました。

地元工務店、大手住宅会社から最低の賃金で発注で請負、時には朝6時から夜中の12時まで働いた現場で請負金額÷日数で換算すると一日1万円くらいにしか稼げない現場も何度かありました。(時間を考えるとコンビニアルバイトの方がどれだけ給料が良いか・・)

正直、そんな中で新たな人材を雇う事も出来ないし、嫁からも収入が無いのなら大工なんてやめて欲しいと言われておりました。

 

 

高校卒業から大工しかしていなかった私は建築から離れらませんでした。

29歳の時に、このままの建築業界じゃ駄目だ、いつか自分が変えなきゃ駄目だと思い、一旦自営業をやめて大工さんが元請け工事をしている会社で監督、営業として働きました。

働いた先は一応は株式会社でしたが、会社員なのに国民健康保険、労災は無し、現場まわりの車もガソリン代金も自分持ちの会社、今で言う非常にブラック企業でした。

(賃金の条件も悪く、結局は家庭も崩壊)

3年我慢し大工以外の事を勉強し、独立し今の会社を立ち上げ、職人さんには沢山のお金(賃金)が払える様に努力していますが、周りの工務店、建築会社、大手メーカーが職人さんに対する考え方が変わらない限りは職人不足は解消されないと思います。

 

 

弊社では大工さんに最低賃金 一日2.5万円(経費込)の保証はしてあげる様にしていますが私どもの愛知県安城市の建築会社の殆どが2万円~1.8万円(経費込)を大工さん賃金目安としています。(弊社は利益を削って大工さんに賃金を払っています)

隣町の岡崎市では1.8万、蒲郡市は1.8万以下 1.5万という言葉も聞きます。(経費込価格)

一人前の大工さんが1.8万円では若い人材を育てる余裕がありません。ましてや言葉の通じない外国人は難しいはずです。

ほとんどの大工さんは工務店から請負で仕事をしている為、時間に余裕が無く1年程の経験者大工さんでも一人前の職人さんの一日の作業能力は半分も届きません。1/3程度でしょう。出来高で払うと、一人前の大工さんが1.8万円なら6千円しか払えません。

6千円の日当では20年前の見習いの価格です。ブラックと叫ばれ、SNSにあげられる今の時代です。

 

坊主丸儲けではなく、大工丸儲けの時代を行政が対策してあげない事には大工人材不足状態を解消できない事と思います。

『暑い、寒い、きつい・・・けど儲かるし保証もある』 そうなれば若い人材も育てられる時代にはいれる事でしょう。

私も高校卒業後に大工はサラリーマンより儲かると勘違いし吹き込まれ大工になりました。

(現実は違いました)

勉強できないから足場職人、土木職人、大工職人になる時代になっています。

下手すると未だに『怪我と弁当はテメー持ち』の言葉が残っている業界です。

私達の様な職人さん思いの工務店だけで何とか変えれる状況ではありません。

 

2020年問題、2030年問題で建築業界は変わろうとしている今だからこそ、職人さんに憧れる若者を増やす対策を我々が協力しなければなりません。

 

どうか、こんな小さな工務店の意見が少しでも行政に届くことを願っております。


 

 

営業所:愛知県安城市里町証文山84-1

T.0566-91-6833        F. 0566-91-6834

masa@ito-pro.com

株式会社 ito-pro 代表取締役 伊藤昌悟 (イトープロ イトウマサノリ)